戦後、日本が独自で開発した航空機~US-1/US-2~

水陸両用の航空機、US-2をご存知でしょうか。US-2は、日本が独自で開発した救難用の航空機で、US-1の後継機となっています。現在は海上自衛隊が導入しており、海上や離島における救助・支援活動などに活躍しています。そんなUS-2とはどのような航空機なのかご紹介しましょう。

US-2の特徴

冒頭でもご紹介した通り、US-2はUS-1の後継機として導入された航空機です。航続性能をはじめ、様々な箇所にUS-1以上の技術・装備を取り入れています。US-2になって機能が向上した箇所は以下の通りです。

  • 電子式統合計器板
  • 与圧キャビン導入
  • フライ・バイ・ワイヤ化(操縦系統)
  • エンジン・プロペラ換装
  • 高耐波性技術
  • 極低速離着水技術

エンジン換装や与圧キャビン導入によって、まず向上したのがスピードと航続距離です。US-2の巡航速度は約480キロとなっており、航続距離は約4700キロです。また、1度の巡航で261島にアクセスできるというのも特徴となっています。一刻を争う救助・支援に、速く広範囲に行けるため、多くの活躍が期待されています。

また、高耐波性技術や極低速離着水技術が向上したことによって、US-2は波高3メートルの荒波でも離着水可能となっています。波高3メートルでも着水可能なのは、US-2が世界で唯一となっており、人命救助に貢献できる大きなポイントになっています。

また、民間旅客機に比べると、US-2は約4分の1の距離で離着水可能なのも特徴です。水陸両用な点もあり長い滑走路は不要で、すぐに離着水可能になっているのです。海上自衛隊に導入されて以降は、海難事故の救助活動を目的に多くの実績を残しています。出動回数も多く、US-1から起算した場合すでに1000回を超えています。

開発経緯

そもそも、US-2はなぜ開発に至ったのでしょうか。前身機であるUS-1は、元々哨戒機として導入されていたPS-1を再設計したもので、技術も性能も優れていると言われていました。しかし、海上自衛隊より離着水時の操縦性能や洋上救難能力のさらなる改善・向上が求められたことで開発へと至ったのです。

※US-1↓

そんな中、新明和工業では、US-1の近代化として1991年頃から研究が行われていました。1996年になると、US-1の後継機開発に向けて防衛庁がUS-1の改開発を新明和工業に指名します。同年10月には新明和工業を主契約会社として指名し、協力会社として川崎重工業・富士重工業・日本飛行機を指名しています。その後、US-1の改開発から「US-2型救難飛行艇」に名称を変え、2007年3月に部隊配備されました。

ただ、US-2開発は簡単なものではなく、耐波性と荒海での離着水に対応できる機体をどのように開発するか苦慮したと言います。しかしそれ以上に、新明和工業は耐波性と離着水性能が向上すれば間違いなく飛行艇としての新たな用途が見つかると確信していたのです。その後、水上滑走時の飛沫を消すことができれば、波高3メートルの荒波でも着水できるのではないかと考えました。

新明和工業は、4年かけて「溝型波消装置」を発明し、波高3メートルでも着水可能な機体完成へとつなげていきました。また、安全に離着水するためには離着水時の速度を低下させる必要があります。新明和工業は、風洞試験を重ねて離着水時の速度を毎時83キロまで低下させることに成功し、US-2の基礎設計を開発したのです。その結果、US-1の後継機となる波高3メートルの荒波でも離着水可能な機体が誕生しました。

まとめ

US-1の後継機として日本で開発されたUS-2の特徴や開発経緯についてご紹介してきました。US-2は、水陸両用の航空機として海上や離島における救助や支援活動のために開発されました。US-1の機体を超える技術と性能を駆使して、現在は波高3メートルでも着水できる世界唯一の機体となっています。今後も、海上自衛隊による救助・支援活動に大きく貢献することでしょう。